翻訳について調べていると、
「翻訳者は一生勉強」
「学習を続けられない人には向いていない」
といった言葉を目にすることがよくあります。
これを見て、
「ずっと勉強し続けるのは正直しんどそう」
「今は英語が好きでも、いずれ疲れそう」
と不安になるのは、とても自然な反応です。
ただ、この「学習し続ける」という言葉は、
意味がかなり広く、誤解されやすい表現でもあります。
この記事では、
翻訳者がなぜ「学習し続けているように見えるのか」を、
努力論や精神論ではなく、仕事の構造として整理していきます。
結論|翻訳者が学習し続けるのは、努力家だからではない
先に結論から書きます。
翻訳者が学習し続けているように見えるのは、
「向上心が高いから」「ストイックだから」ではありません。
翻訳という仕事の性質上、
仕事をしていると結果として学習が発生しやすい
それだけの話です。
しかも、その多くは
一般的にイメージされる「勉強」とは少し違います。
なぜ「学習し続ける必要がある」と言われやすいのか
翻訳の仕事では、
案件ごとにテーマや分野が変わることが珍しくありません。
IT、医療、ビジネス、観光、製品マニュアルなど、
内容が変われば、調べることも自然に変わります。
これは「勉強しよう」と思っているというより、
仕事を成立させるために確認しているに近い行為です。
翻訳には、
「この表現が唯一の正解」という場面がほとんどありません。
より自然か、文脈に合っているか、読み手に伝わるか。
複数の選択肢を比較する必要があります。
この比較・検討のプロセスが、
外から見ると「学習」に見えやすい部分です。
翻訳では、
分からない単語や表現を調べることは前提作業です。
知らないことを調べる
→理解する
→文章に反映する
この流れ自体が仕事なので、
「学習している」という意識はあまりありません。
言葉は時代や文脈によって変わります。
昔は自然だった表現が、
今では違和感を持たれることもあります。
これは語学に限らず、
文章を扱う仕事全般に共通する性質です。
翻訳者が実際にやっている「学習」の中身
多くの翻訳者が日常的にやっているのは、例えば次のようなことです。
- 翻訳しながら意味を確認する
- 似た表現のニュアンスを比べる
- 修正指示を見て「そういう考え方もある」と理解する
- フィードバックから癖に気づく
机に向かって単語帳を開くような「勉強感」は、
実はそれほど強くありません。
作業と理解が同時に進んでいる
それが実態に近いです。
学習が苦しくなる人/自然に続く人の違い
ここには、能力の優劣というより、
考え方の違いがあります。
- 常に完璧を目指してしまう
- 学習=成長し続けなければならないと思っている
- 仕事と学習を完全に分けようとする
こうした考え方だと、
「ずっと足りない」「終わりがない」と感じやすくなります。
一方で、
- 分からないところだけ確認する
- 必要な分だけ調べる
- 今の仕事に必要な範囲でよしとする
こうした距離感の人は、
学習をあまり負担に感じません。
ここで重要なのは、
「学習が続く=意志が強い」
「苦しくなる=向いていない」
という話ではない、という点です。
実際には、
翻訳そのものよりも
「学習との向き合い方」で負担を感じている人が多くいます。
たとえば、
- 毎回、新しい表現を完璧に理解しないと進めない
- 一度調べたことを忘れると、成長していない気がする
- 他の翻訳者と比べて、自分は理解が遅いと感じてしまう
こうした考え方があると、
学習は「補助」ではなく「重荷」になりやすくなります。
一方で、
必要な部分だけ確認し、
「今の仕事が成立すれば十分」と考える人もいます。
どちらが正しいという話ではなく、
自分がどの考え方に近いかを知っておくだけでも、
翻訳との距離感はかなり変わります。
学習し続けない翻訳者もいるという現実
実際には、
- 分野をある程度固定する
- 仕事量を調整する
- 学習負荷の少ない案件を選ぶ
といった形で、
学習量を抑えながら働いている翻訳者もいます。
常に新しいことを追い続けなければならない、
というわけではありません。
続け方は一つではない、というのが現実です。
翻訳を考える人が持っておくと楽になる視点
翻訳における学習は、
- 努力の証明ではない
- 成長し続ける義務でもない
- 多くの場合、仕事の一部として自然に発生している
もし、そのプロセス自体が合わないと感じたら、
無理に選ばなくていい仕事でもあります。
「続けられるかどうか」は、
やってみてから判断しても遅くありません。
次に考えるべきこと
ここまで読んで、
- 自分は翻訳に向いていそうか
- どんな部分が負担になりそうか
を考えたくなった方は、次のテーマも参考になります。
どれも、「続けられるか」を冷静に判断する材料になります。
まとめ
翻訳者が「学習し続ける」と言われる理由は、
努力や根性の話ではありません。
仕事の性質上、
理解しながら進める場面が多いだけです。
それを負担に感じる人もいれば、
特に意識せず続けている人もいます。
必要以上に身構えず、
自分に合うかどうかを考える材料として、
この現実を知っておいてもらえれば十分です。

この記事を書いた人
青
翻訳歴15年以上。
田舎の公務員とパート主婦の家庭に生まれ、
バックパッカー経験を経て、英語・スペイン語で仕事をするようになりました。
このブログを通して、
「なんだ、私にもできるかも」
と思ってもらえたらうれしいです。
一緒に、英語のある暮らしを楽しんでいきましょう。


