翻訳の仕事について調べると、
「割に合わない」「思ったより稼げない」という声を目にすることは珍しくありません。
実際、翻訳の現場を経験した人の中に、
そう感じている人が一定数いるのは事実です。
ただし、この評価は感情的な愚痴だけで生まれているわけではありません。
理由を分解していくと、
「翻訳という仕事の構造」と「始める前の期待」のズレが見えてきます。
結論|翻訳が「割に合わない」と感じられるのは珍しくない
結論から言うと、
翻訳が「割に合わない」と感じられること自体は、特別なことではありません。
その多くは、
仕事の仕組みと、想像していた働き方・収入イメージのズレによって起きています。
翻訳そのものが悪いわけでも、
向いていない人が努力不足というわけでもありません。
「割に合わない」と言われやすい主な理由
翻訳は「英文を日本語に直す作業」と思われがちですが、
実際には、調査・確認・表現調整に多くの時間がかかります。
特に慣れない分野では、訳す時間より調べる時間のほうが長くなることもあります。
こうした作業は事前に想定しづらく、結果として「時給換算すると厳しい」と感じやすくなります。
多くの翻訳案件は「文字単価」「ワード単価」です。
作業が早く終わっても、丁寧に時間をかけても、
基本的な報酬は変わりません。
翻訳の品質を上げるほど作業時間が増えても、報酬が比例して増えるとは限りません。
この仕組みが、「丁寧にやるほど割に合わない」という感覚を生みやすくします。
調べ物、用語統一、前後文脈の確認など、
翻訳には成果物に直接見えない作業が大量に含まれます。
外から見ると短い訳文でも、
裏では多くの工程が発生しています。
調査や確認は成果物に反映されにくく、第三者から評価されにくい工程です。
そのため、実際の負荷に対して仕事が軽く見られてしまうこともあります。
クライアントの意向変更や表記ルールの違いにより、
納品後に修正が入ることもあります。
この追加作業が報酬に反映されない場合、
「割に合わない」と感じやすくなります。
翻訳は「正解が一つではない」ため、発注者との認識のズレが起きやすい仕事です。
このズレ調整が続くと、想定以上に時間を取られることがあります。
翻訳は実績重視の世界です。
初心者のうちは、
どうしても低単価から始まるケースが多くなります。
実績が重視されるため、最初は作業量のわりに報酬が低く感じやすい傾向があります。
ここで負担感が強くなり、「割に合わない」という印象を持つ人も少なくありません。
「問題なく読める翻訳」は、
評価されにくいという側面もあります。
ミスがないことが前提の仕事のため、
達成感を得にくいと感じる人もいます。
手応えを感じにくい点が、モチベーション面での割に合わなさにつながることもあります。
特に初心者がそう感じやすい理由
初心者が「割に合わない」と感じやすいのには、
いくつか共通した背景があります。
- 学習と仕事の違いを実感しやすい
- 英語力があればできると思っていた
- 在宅=気楽そうというイメージがあった
これらは自然な誤解であり、
初心者本人の問題ではありません。
実務としての翻訳は、
英語力以外の要素が大きく影響します。
それでも翻訳を続けている人がいる理由
一方で、
「割に合わない」と感じながらも翻訳を続けている人がいるのも事実です。
その理由は、
必ずしも収入だけではありません。
- 英語に触れ続けられる
- 一人で完結できる仕事が合っている
- 専門分野と結びついている
翻訳は、
向き・合い方によって評価が大きく変わる仕事です。
翻訳を続けている人の多くは、
「時給が高いかどうか」だけで仕事を判断していません。
収入は重要でも、唯一の基準ではない、という考え方をしています。
「割に合う/合わない」を分ける視点
翻訳が割に合うかどうかは、
単純に「稼げるか」で決まるものではありません。
- 作業内容との相性
- ストレスの感じ方
- 長く続けられるか
これらを含めて判断する必要があります。
誰にとっても良い仕事、悪い仕事というものはありません。
次に考えるべきこと
もしここまで読んで、
- 思ったより大変そうだと感じた
- 自分に向いているか気になった
のであれば、次の視点を整理してみるとよいかもしれません。
翻訳を続ける/選ばない、
どちらの判断も、冷静な情報をもとにしたものであれば前向きです。
要点まとめ
- 翻訳が「割に合わない」と言われるのには構造的な理由がある
- 期待値と現実のズレが不満につながりやすい
- 向き・価値観によって評価は大きく変わる
- 続ける/選ばない、どちらの判断も正しい


