翻訳と英語ライティングは別の作業
翻訳は、原文の意味・文脈・意図を読み取り、別の言語で再構成する作業です。
文法的に正しい英文であっても、原文の意図からずれていれば翻訳としては成立しません。
一方、英語ライティングは「英語でどう表現するか」を考えながら文章を組み立てる作業です。
出発点が日本語原文ではない場合も多く、自然さや読みやすさが重視されます。
Grammarlyは、英語ライティングを補助するためのツールです。
翻訳そのものを行うツールではなく、「書かれた英文」に対して指摘や提案を行う立場にあります。
翻訳と英語ライティングの違いが分かりにくいのは、
どちらも「英語を書く作業」に見えるからです。
ただ、実務では出発点がまったく異なります。
翻訳は「すでにある文章をどう再構成するか」が問われ、
ライティングは「何をどう書くか」を自分で決める作業です。
Grammarlyは後者、つまり
自分で英語を書いたあとの調整・確認に関わるツールです。
この前提を曖昧にしたまま使うと、
翻訳作業とのズレが生じやすくなります。
Grammarlyが役立つ場面(英語ライティング寄り)
ここで挙げるのは、
「Grammarlyがあると助かることがある場面」です。
Grammarlyを使うことで
作業そのものが大きく変わる、というより、
確認の手間や不安が少し減る、
その程度の位置づけで考えると現実的です。
英語ライティング寄りの作業であっても、
すべてを任せる前提にはしない、という点は共通しています。
業務連絡や定型的な英語メールなど、自分で英文を書く場面では、文法や語順の確認に使いやすいケースがあります。
内容の正しさではなく、表現面の確認に限定して考えるのが無難です。
書き終えた英文を一度見直す際の「第三者的な視点」として使う、という位置づけです。
最終的な採用・不採用は書き手自身が判断する前提になります。
スペルミスや冠詞の抜けなど、人が見落としやすい点を拾う補助としては参考になります。
ただし、指摘=正解ではありません。
翻訳作業で注意が必要な場面
翻訳作業において問題になりやすいのは、
「文法的に自然かどうか」と
「原文として正しいかどうか」が
必ずしも一致しない点です。
Grammarlyの指摘は、
あくまで英文単体を見たときの話であり、
原文との対応関係までは考慮されません。
そのため、翻訳では
「正しそうに見える提案ほど注意が必要」
になる場面もあります。
契約書、仕様書、専門性の高い文章では、原文との対応関係が最優先されます。
自然さを優先した提案が、かえってズレになることもあります。
用語集や表記ルールが決まっている場合、ツールの提案が必ずしも適合しません。
指摘をそのまま反映するのは避けた方が安全です。
翻訳では「不自然でも原文に忠実」という判断が必要になる場面があります。
この点はツールでは判断できません。
実務でGrammarlyを使う場合の考え方
実務でツールを使う際に大切なのは、
「正解を出してもらう」意識を持たないことです。
Grammarlyの指摘は、
自分の判断を補強したり、
見落としに気づくための材料と考える方が、
結果的に作業が安定しやすくなります。
- 最終判断は必ず人間が行う
- 指摘は参考情報として扱う
- 自分の文章を見直す時間を残す
ツールは判断を代替するものではなく、確認材料の一つと考える方が現実的です。
他のツールとどう使い分けるか
- AI翻訳:下訳や参考用。そのまま納品する前提にはしない
- 英文チェック系ツール:書いた英文の確認補助
- ChatGPTなど:表現案の発想補助や比較検討用
それぞれ役割が異なり、重なっているようで完全には代替しません。
Grammarlyが合わないケースもある
- 英文を書く機会が少ない
- 翻訳中心で作業している
- ツールの指摘に振り回されやすい
この場合、「使わない」という判断も自然な選択です。
ツールは「使えるかどうか」よりも、
「今の作業に合っているか」で判断する方が無理がありません。
Grammarlyに限らず、
使わない選択を含めて整理できている状態が、
実務ではいちばん安定します。
次に読むとよい記事
- Grammarlyはどんな人に向いている?
- Grammarlyに頼りすぎると危険な理由
- Grammarly無料版と有料版の考え方
※詳しくは別記事で解説しています。
要点まとめ
- Grammarlyは翻訳ツールではなく、英語ライティング補助が前提
- 翻訳とライティングは別作業として考える必要がある
- 実務では「参考情報」として限定的に使う意識が重要
- 翻訳中心の人や英文を書く機会が少ない場合は無理に使う必要はない
- 自分の作業内容に合うかどうかを基準に判断する


